セルフパブリッシングは誰のため?

ソーシャルリーディングについてのプレゼンを書いといてなんですけど(「Social Reading3.0」 http://slidesha.re/gEw8IV )、ソーシャルリーディングよりセルフパブリッシングの方がみんな興味あるんじゃないかと思います。アメリカのニュースサイト見てても、セルフパブリッシングについての話は多く登場しますが、ソーシャルリーディングという話はほとんど見かけません

考えてみれば当然で、誰しもが『年収◯◯◯◯万円を目指す方法』的なビジネス書には興味あるわけで、いつか稼いでやるって思っている人にとってはセルフパブリッシングで印税生活をすることは、ちょっとがんばれば何か届きそうな「夢」なわけです。

きょうのNOTEはアメリカでアクセスが伸び続けるブログメディアサイトThe Huffington Postから。フリーの編集者であるPatricia Beneshが書いたポストです。

[With All the Hype, Is Self-Publishing Really for You?: 5 Questions to Ask Yourself] http://huff.to/g7JvYv 

2010年にアメリカの電子書籍市場はブレイクしたということが色々な数字が書いてありまして、その後にこんな興味深い事実が書いてあります。

For the first time, USA Today’s Best-Selling Books top-50 list had more than two titles in which the e-version outsold print. Of the top 50, 19 had higher e-book than print sales. 

史上初めて、「USA TODAY」ベストセラーランキングのトップ50において、紙の本の総売り上げを上回る電子書籍が2冊登場しました。また、そのランキングでは、実に19冊の電子書籍が紙の本のランキングより上位にありました。

調べてみますと、こちらの「USA TODAY」のニュースにそのソースがありました。

[Week after holidays, e-book sales outdo print] http://usat.ly/fpc57f 

理由はクリスマス休暇の朝にみんなが電子書籍を一斉に買ったから、ということのようです。

話を続けましょう。出版業界に詳しいリサーチャーはこう言っているそうです。

Sales could flatten this year but still could be twice as high as they were in 2010. (E-books sales account for about 9% of the market.)

今年(2011年)は電子書籍の売り上げも落ち着くだろうが、それでも2010年の倍の売り上げは倍増する。(現在では電子書籍は約9%のシェア)

ということは18%のシェアをとるってことなんでしょうか。なかなかすごい予測です。そしてセルフパブリッシングの話になりますが、前回書いたセルフパブリッシングの電子書籍を一日千冊売る男Joe Konrathの一節が引用されてました。

「… I rerouted my promotional efforts toward e-book readers. I quit sending marketing material to bookstores and instead joined several Kindle forums, where I participated in discussions. I got more active on Goodreads and did five back-to-back book giveaways just for the exposure. I wrote a dozen guest blogs and sent them all over the Internet.」

「電子書籍の読者に向けて販促をがんばることにした。だから、書店に販促ツール提供するの止めて、Kindleコミュニティに参加して議論したり、Goodreadsで5連作の販促本を提供して露出を増やしたりしてる。ブログを書くのもすべてインターネットを通じて行っている。」

「Social Reading 3.0」のプレゼンでも触れた「Goodreads」(http://www.goodreads.com/)が出てきて、やっぱりなって思いました。kindleでセルフパブリッシングしてるような著者はソーシャルメディア使ってマーケティングしてるわけですね。さて、それに対して、専門家はこのように述べて反論します。。

Many of these authors have multiple books on offer (i.e., they may be selling 250 copies each of four books, not 1,000 copies of one book), and/or are pricing them well below what larger publishers charge (which makes them extra-attractive to ebook enthusiasts, many of whom are very hostile toward trade publishers’ ebook pricing strategies). And even if, as Konrath claims, the list is only a small sampling of high-selling Kindle self-publishers, these success stories have to be considered in the context of the thousands of self-pubbed authors whose ebooks aren’t selling in large quantities.

セルフパブリッシングで電子書籍を出版する著者の多くは複数の本を書いています(1冊を1000部売っているのではなく、4冊を250部づつ売っているのでしょう)。そして電子書籍の価格は大手出版社よりかなり低価格です(低価格が電子書籍の熱狂をより魅力的にしており、多くの人々が出版社がつける価格戦略に敵対心を抱いてます)。Konrathがどんなに主張したとしても、セルフパブリッシングで好セールスを記録している著者はほんの一握りに過ぎず、こうしたサクセスストーリーは、ほとんど売れない電子書籍を書く大多数の著者の中に存在しているに過ぎないことをよく考慮すべきです。

おっしゃるとおりというか、よく見る構図だなと思います。現在の日本における電子書籍が語られる文脈も、似たところがあるなと思いました。そして最後に、セルフパブリッシングを始めるにあたって考えるべき5つのことが述べられています。

…advanced planning and research? Realize a book is a commercial product. Are your goals realistic? Who will buy your book? How will you reach your potential readers? Who is your competition? How will your book be better or different? What are your realistic ROI expectations?Do your homework in advance and you will save a great deal of time, effort, and stress.

よくリサーチをして計画的にやるつもりはありますか?書籍は商品であることをよく理解しましょう。あなたのゴールは現実的ですか?誰があなたの本を買うのでしょうか?どのようにして潜在的な読者に本を届けるのでしょうか?あなたのライバルは誰でしょうか?どうすれば本がおもしろく、他の本と違ったものになるでしょうか?現実的なROI(投資回収率)はどれぐらいを望むのでしょうか?仕事は前もって終わらせて、書くための時間を確保しましょう。

…time to write a high quality content? That means knowing your audience, supplementing “what you know” with appropriate research, and knowing how to tell a good story (for fiction and nonfiction). It also means carving out the time to do the actual writing or working with a ghostwriter.

高い質の本を書く時間を持てますか?つまり、それは読者のことをよく知る時間や自分の知識を補う適切なリサーチをする時間、また、どうやって良い物語(フィクションやノンフィクション)をつくればいいかを知る時間のことです。実際に執筆する時間やゴーストライターと打ち合わせる時間が本当にあるのかどうか、ということも含みます。

…resources to produce a quality book? At a minimum expect to pay professionals to proofread your book, design an attention-grabbing cover, and format the interior pages. You want a timeless book you’ll be proud of forever.

クオリティの高い本をつくるリソースがありますか?最低でもプロに校正や目立つ表紙や中面ページのデザインをお願いしたいものです。古びなくて一生誇りが持てるような本がほしいはずです。

…resources to create your platform? Must-haves include a website/blog, Facebook and Twitter presence, Youtube channel, and other social media sites appropriate for your book.

自身のプラットフォームを築くリソースはありますか?Webサイトやブログ、FacebookとTwitter、Youtubeチャンネルやあたなの本にあったソーシャルメディアサイトなどは絶対にほしいところです。

….practice of tirelessly and patiently promoting your book and building your readership? You can pay thousands of dollars to have self-publishing companies market your book, with no guarantees. The bottom-line, you must spend YOUR time and energy communicating with your readers-consistently and creatively. Marketing can seem daunting until you learn the efficient methods for promoting your book. Realize that building a fan base likely will take a year or more.

読者を募るために根気よくプロモーションができますか?もちろんセルフパブリッシングで電子書籍を出版するのに数千ドルをかけてプロにお願いすることもできます。保証もないですが。結論を言えば、読者と創造的なコミュニケーションをとる、あなた自身の時間とエネルギーを費やさなければなりません。自分の本を売るための効率よいやり方を習得するまでは、マーケティングは長い道のりに見えます。コアなファンのベースを築くまでには1年以上かかるだろうことをよく理解しておく必要があります。

翻訳しながら思ったのは、よく考えれば当たり前のことばかりです。よほどアメリカのセルフパブリッシングが盛り上がっているのかもしれません。結局のところ、お金と時間をかけて、作品をよくする努力をし、ソーシャルメディアで売る努力をした著者が成功するっていうことですね。

セルフパブリッシングで電子書籍を出そうと考えている日本人も多くいらっしゃると思います。そういう意味ではアメリカが先取りしているところもあるので、上記のポストはとても勉強になると思いました。ご参考にしてください。