「Digital Book World」での話
先日、米国ニューヨークで出版業界向けのカンファレンス「Digital Book World」が開催されました。そのレポートを「PUBLISHERS WEEKLY」がさっそくニュースにアップしており、内容が非常に興味深いと思いましたのでNOTEでシェアします。
[Digital Book World: e-Royalties, Amazon and the Shape of Things To Come(電子出版の印税とAmazon、これから起こること)]
まずは出版コンサルタントShatzkin氏が130の出版エージェントにとった電子出版の印税(ロイヤリティ)についてのアンケート回答が紹介されています。
Shatzkin noted that 3/4 of agents believe an author should have one publisher for both electronic and print;
4分の3のエージェントが著者は紙も電子も一つの出版社であるべきと信じています。
that most agents, unsurprisingly, believe a 50% e-book royalty rate is “fair,” and that most publishers thought that 25% of net ebook receipts, the generally accepted e-book royalty rate today, was fair.
驚くほどのことではありませんが、ほとんどのエージェントは、現在、一般的に受け入れられており且つ出版社が公平だと信じるレートである25%のnet ebook receipt(電子書籍の手取り)ではなく、50%のロイヤリティ(印税)が公平であると信じています。
ちょっと米国の出版印税の一般的な仕組みは理解しておりませんが、電子出版は基本的に電子書店から払われる金額のレベニューシェアだと思われますので、おそらく現在の電子書籍は出版社が得る売り上げの25%が著者に払われているということだと思います。そして、それは50%であるべきだ、と出版エージェントたちは主張しているのだと解釈しました。日本では明確なルールはないと思いますが、近いパーセンテージになっていくのでしょうか。
Not surprisingly he said the highest royalty rates were paid by digital-only publishers, houses that don’t have a large print backlist. He said that 1/3 of the agents have deals over 25% for e-book royalties and half the agents said they have deals with larger e-book royalties on backlist titles.
驚くようなことではないが、分厚い既刊書リストを持っていないような電子出版専門の出版社は最も高いロイヤリティを支払っていた。1/3のエージェントは25%以上のロイヤリティでの取引経験があり、約半数のエージェントは既刊書リストのタイトルより高いロイヤリティで取引していた。
And while 90% of the agents said their authors are interested in self-publishing, publishers are generally not worried, Shatzkin said, because they believe their ability to offer advances will keep authors coming to them. Finally, Shatzkin emphasized that he believes the 25% e-book royality rate “will stick for awhile,” at least until print sales fall below 50% of publisher revenue.
エージェントは著者の90%がセルフパブリッシングに興味を持っていると言っている一方、一般的に出版社はそれほど心配していない。なぜなら、出版社はアドバンス(前払い)を払うことができるし、著者はそのアドバンスで囲い込むことができると信じているからだ。25%のロイヤリティは少なくても紙の書籍売り上げが出版社の利益の50%以下に落ちない間は、揺らぐことはないと思う。
なるほど、米国の出版業界はアドバンス(前払い)という仕組みで著者をつなぎとめているわけですね。日本では何がそれにあたるのでしょうか。。連載媒体での原稿料?とかでしょうか。いろいろ考えさせられる米国のロイヤリティ事情でした。日本と仕組みが異なっていて、おもしろいですね。
次に、Amazon社のKindle Content部門のヴァイスプレジデント、Russ Grandinetti氏の話が実に興味深く書いてあります。
“digital is coming faster than you think.” He noted the importance of preorders to Amazon, “24% of print sales happen before the street date,” and pointed out that during the first 30 days a new digital book is available, it drives sales of the backlist.
デジタル化は皆さんが考えているよりも速いスピードで訪れます。Amazonでは書籍(紙)の発売日前に売り上げ全体からみて24%の事前予約が入ります。電子書籍は新刊を売り始めて30日間にわたり、既刊書の売り上げに影響を与えます。
And he highlighted the rising popularity and quality of POD copies produced through Amazon.com, which have risen from less than 500,000 POD copies produced in 2006 to nearly 3 million copies produced in 2010.
Amazonを通じたPOD(Print On Demand)の規模と質は急速に進化を遂げており、2006年に50万部未満だったものが2010年には300万部近くまでに伸びました。
さすがにAmazonは戦略的に数字を出してくるなという印象です。事前予約の数字によりリアル書店よりインターネット書店が優位であることを語り、さらに電子書籍を新刊を売ることが既刊の売り伸ばしになるからどんどん新刊を電子書籍にしましょうと出版社に言いたいのでしょう。さすがです。さらに、PODが伸びていることを出して、おそらくは“紙が大事と思っている出版社の皆さま、朗報です。PODなら紙を愛している読者には紙の本を届けられます。(Amazonのプラットフォームならね)”って感じなんじゃないでしょうか。解釈は自由ということで、感じたことを記述させていただきました。皆さんはどのように感じられたでしょうか?
他にもいろんな話が記事には書いてありますので、英語で読める方はぜひご一読いただくと面白いかと思います。
昨日のポストではいろいろとご迷惑をおかけしました。もし、事実誤認などがございましたら、Twitter(http://twitter.com/ro_mi)などでお知らせいただけると大変に助かります。あたたかいお言葉をいただいた皆さま、本当にありがとうございます。引き続き米国の電子書籍事情などをご紹介させていただいていくつもりです。引き続きよろしくお願い致します。
