Zite(ザイト)に見るデジタルマガジンの未来

ニュース記事を読んで即座にすごいiPadアプリだと思いました。「Zite(ザイト)」です。「Flipboard」がソーシャルネットワークのアグリゲーションをデジタルマガジン風に見るアプリと位置づけるならば、「Zite」はパーソナルにカスタマイズされたコンテンツアグリゲーションをデジタルマガジン風に見るアプリです。残念ながら現時点では日本語の後追い記事がウォール・ストリート・ジャーナル日本版](※記事にリンク)以外に見つからなかったので、[TechWave](※記事にリンク)にも取り上げられておりますが、NOTEにとりたいと思います。(※2011/03/10/16:10更新)

[参考:YouTube:Introducing Zite, the Intelligent iPad Magazine

「Zite」ではまずTwitterのアカウントとGoogle Reader(RSSリーダー)のアカウントを聞かれます。そして「Zite」はそのTwitterアカウントでツイートされたコメントやシェアされたリンク、RSSリーダーで購読している内容を基に、50万を超えるドメインからユーザーが興味を持つ内容を探し出してきてデジタルマガジンのように表示するそうです。

さらにすごいのは、ユーザーがどのニュースを読んだかという行動をトラッキングして学習したアルゴリズムを使い、よりパーソナライズされたニュースやコンテンツを表示させるという点です。「Pulse」などiPad向けにビジュアライズされたRSSリーダーは今までもありましたが、「Zite」は本当の意味でのRSSリーダーの未来型といえそうです。

気になるビジネスモデルですが、「Zite」自体は無料アプリで広告ビジネスを展開し、Publisher(コンテンツホルダー)と50:50での収益分配を予定しているそうです。「Zite」はユーザーのインタレストをより詳細に把握しているため、パーソナルにターゲティングされた広告を配信できるといいます。

と以上が「Zite」の概要でしたが、皆さんはこのアプリについてどう思われたでしょうか。

私が真っ先に思ったことは「デジタルマガジンとは何か?」という点です。米国コンデナスト社が先進的なデジタルマガジンをリリースする度に「すごいなあ」と思っていたのですが、「Zite」はマガジンというものが(人の手によって)編集されてつくられるもの、という前提そのものを飛び越えてしまいました。

「Zite」ではアルゴリズムそのものが編集者です。これはデジタルコンテンツが「(紙の)マガジン」というパッケージの制約を受けないからこそ、またデジタルコンテンツがWeb上に存在しているからこそ、パーソナライズしてパッケージする「Zite」のようなデジタルマガジンが登場したのだと思います。この点、Web上に存在するコンテンツをよりパーソナライズにアグリゲーション(パッケージング)するレイヤーとしての「Zite」が登場するのは必然といえるかもしれません。

そう考えていくと、デジタルマガジンのあるべき姿が変わると思います。例えば、「Zite」が広告モデルだけではなく、ユーザーがアクセスするごとに「Zite」が課金をする課金モデルを採用したとすれば、それをPublisherとレベニューシェアすることも可能だと思います。そうなるとPublisherは自社でコンテンツを一つのデジタルマガジンとしてパッケージングする必要すらなくなるのではないでしょうか。私は以前、「デジタルマガジンを記事ごとに課金するモデルは有り得ない」と考えておりましたが、「Zite」が登場してその考え方を変える必要があると感じました。これならばPublisherは一つの記事ごとに収入を得ることができるかもしれません。ものすごい未来型なアプリだと思います。

もちろん、「Zite」の試みが未来型だからといって成功を約束されたわけではありません。Appleのプラットフォーム上ではデジタル・コンテンツの販売については30%という高い手数料がありますし、そもそも「Zite」のユーザビリティが低くてユーザーに受け入れられなかったら意味がありません。しかし、「デジタルマガジンとは何か?」について深く考えさせられたのは確かです。

こういう新しいコンセプトのサービスが登場するからこそ、今、出版業界はおもしろいのだと思います。これからも電子出版にまつわる海外の動向はNOTEにとっていきたいと思います。

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