GetGlueから考える「チェックインする」ということの意味(2)

ニュースがシェアされることで起こったことは大きく分けて二つあると思います。

(1)インタレストグラフ(Interest Graph)の形成

例えばTwitterでニュースをシェアしたり、リツイートするということは、何に興味を持っているかを表明することでもあります。そして、あなたが何に興味があるか=インタレストグラフが形成されることにより、そのデータを利用する様々なサービスが立ち上がっています。最近、立ち上がったサービスでいえば、読むべき記事を1日5本にまとめてくれるキュレーションサービスのSummify(参考:TechCrunch「情報洪水の中、読むべき記事を1日5本にまとめてくれるキュレーションサービスのSummifyがサービス開始」2011/3/31)や、NOTEでも取り上げたデジタルマガジンの未来形ともいえるZite(参考:「Ziteに見るデジタルマガジンの未来」2011/3/10)などが、インタレストグラフを利用してニュースをパーソナライズ化し、レコメンドするサービスです。そのへんの話はTechCrunchの記事(参考:「関連性(Relevance)の時代の幕開け」)がとても詳しいです。

(2)ニュースは向こうからやってくる

Twitterのタイムラインを頻繁にチェックするようになってRSSリーダーを使わなくなった、という話をよく聞きます。それをひとことで言えば「ニュースは向こうからやってくる」、つまり自分の気になるニュースはフォローしている誰かがシェアしてくれるのです。配信されるニュースをすべてチェックして、その中から自分の興味のあるニュースを読むよりは、もともと同じ興味を持っている誰ががシェアしてくれるニュースの方がよっぽど有用で効率的なわけです。

この二つのことをエンターテインメントへのチェックインに置き換えるとどうなるのでしょうか。

→(1)インタレストグラフ(Interest Graph)の形成

インタレストグラフの形成はエンターテインメントコンテンツの作り手にとっては非常に良いことだと思います。自分が属する出版業界で考えれば、今まで個々人のインタレストグラフを独占していたのはAmazonなどの一部インターネット書店やポイントカードを導入している大手の書店、また読書情報を持つSNSだけでした。特にAmazonのレコメンデーションが有名だったりしますが、インタレストグラフがソーシャルメディアというオープンなプラットフォームに可視化されることにより、Amazonじゃなくてもパーソナルなレコメンデーションを提供できるようになるかもしれません。ニュースのキュレーションサービスがスタートアップ企業であることと同様です。(ま、だからこそKindleはソーシャルメディアにチェックインする機能なんぞ持たずに、徹底的にクローズド環境を築いているわけですが)

→(2)エンターテインメントコンテンツは向こうからやってくる!?

ここが比較的新しい概念になりそうなところですが、自分が興味を持ちそうなエンターテインメントコンテンツは向こうからやってくるようになるのかもしれません。同じく本で考えれば、「TwitterのTLをみてる→誰かがチェックインした本にとっても興味を持った→リンクをクリック→電子書籍を購入しますか?→はい→読み始める」という行動になるわけです。Paywallがあるところがニュースより少しハードルが高いところですね。しかしながら、本を買うのに書店に行かないというのは今まででは考えられない新しさだと思います。映画のDVDレンタルでいえばTSUTAYAやゲオがいらないということに近いのでしょうか。その時流に乗るかのように、米映画大手ワーナー・ブラザーズはFacebook上でレンタルを始めました(参考:CNN.co.jp「フェイスブック上で映画レンタル ワーナーが配信へ」2011/3/9)。ソーシャルメディア上にユーザーがいるならば、ソーシャルメディア上で映画を見られるようにしてしまおう、というのはある意味合理的なのかもしれません。

エンターテインメントコンテンツの消費がチェックイン=ソーシャルメディア上で可視化されることによってどう変化するのか、興味深く見守りたいと思います。最後に、ワーナーのCFOであるMartin氏のインタビューを引用したいと思います。

“It’s one of the reasons why we think in a world where there is more and more choice than ever, in terms of media consumption, there is more and more migration toward the biggest hits,” Martin said. “And social media is a big component of that because people want to talk about the biggest and best stuff. We think that will all accrue to our advantage.”

「メディア消費ということ関して言えば、選択肢が増えれば増えるほど、人々の関心がビッグヒットに向かっています。ソーシャルメディアはそれを構成する大きな要素です。なぜなら人々はビッグヒットについて語りたいものですから。そうした変化は私たちにとって有利に働くと考えています」

(参考:Home Media Magazine「Time Warner CFO: Social Media Could Dictate Warner Movies」2011/3/8)

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